A会の物語– category –
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A会の物語
A会 – 第五話「新しい朝」
マスクを受け取ってから、すべては早かった。 私はその場でスマートフォンを初期化し、新しい端末を受け取った。身分証明書やクレジットカードなどの携行品も、すべてA会が用意したものに交換された。 「これからは、必要最小限の持ち物だけを」 Bが説明す... -
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A会 – 第四話「決断の時」
「お返事はいかがですか?」 Aの声が、静かな空間に響く。他のメンバーたちは、まるで彫像のように動かない。 私は目の前の資料をもう一度見つめた。そこには、A会の過去の活動実績が記されている。政治家の贈収賄を暴いた「R作戦」。大手企業の脱税を明ら... -
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A会 – 第三話「七人目の椅子」
「まずは、自己紹介からいたしましょう」 円卓の一番奥に座る人物が立ち上がった。白いスーツに白いマスク。声から判断すると、先ほどの女性だろう。 「私たちは、それぞれアルファベットの記号で呼び合っています。私はA。あなたは今日からGになります」 ... -
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A会 – 第二話「12階の扉」
旧グランドホテルは、駅を出てすぐの場所にそびえ立っていた。 かつては街のランドマークとして君臨していたビルは、今では薄暗い影となって街を見下ろしている。正面玄関には「立入禁止」の看板。一階のロビーは暗く、かつての華やかさを想像することすら... -
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A会 – 第一話「招待される夜」
机の上に一通の封筒が置かれていた。 いつもなら、部長からの書類や取引先からの資料で埋め尽くされているはずの机の上に、ぽつんと一つ。真っ白な封筒には「A会」という二文字だけが金色の筆記体で記されている。差出人の名前も住所も書かれていない。 「...
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