月影 清響(つきかげ きよひび)会員プロフィール

目次

ご挨拶

拝啓

A会会員の皆様、はじめまして。このたび入会させていただきました月影清響と申します。

私は1985年、北海道の小樽で生まれ育ちました。祖父が営んでいた古書店で幼い頃から様々な本に囲まれて育ち、自然と文学の世界に魅了されていきました。特に明治・大正期の文学作品との出会いは、私の人生の方向性を決定づける大きな転機となりました。

大学では日本文学を専攻し、特に夏目漱石の作品研究に没頭しました。卒業論文では「漱石作品における「月」のモチーフと明治期の文明開化」というテーマで執筆し、伝統的な日本の美意識と近代化の狭間で揺れる明治期の知識人の心象風景を考察しました。

大学院進学後は研究の幅を広げ、明治から大正にかけての文学作品における「光と影」の表現技法について研究を進めてまいりました。現在は私立高校で教鞭を執りながら、若い世代に日本文学の魅力を伝える活動を続けております。

研究・活動について

私の現在の研究テーマは「日本近代文学における空間表現と心理描写の相関性」です。特に注目しているのは、作品中に描かれる建築物や風景が、登場人物の心理状態とどのように呼応しているかという点です。

例えば、漱石の『門』における家屋の描写は、主人公宗助の心理的閉塞感を象徴的に表現していますし、『こころ』における庭の描写は「先生」の内面の荒廃を暗示していると考えられます。このような空間表現と心理描写の関係性を、当時の社会背景や建築様式の変遷なども踏まえながら多角的に分析しています。

また、教育現場での経験を活かし、現代の若者にとって理解しやすい形で古典文学の解説を行うことにも力を入れています。SNSを活用した古典文学の解説や、高校生向けの文学講座の開催など、様々な形で文学の魅力を発信する活動を行っております。

A会での抱負

A会には、私と同じように文学研究に情熱を持つ多くの先輩方がいらっしゃると伺っております。これまでの研究で得た知見を皆様と共有させていただくとともに、様々な視点からのご意見やご指導を賜りたいと考えております。

特に、以下の三点について、会員の皆様との活発な議論や交流を通じて理解を深めていきたいと考えております:

  1. 明治・大正期の文学作品における空間表現の持つ意味
  2. 現代における古典文学教育の在り方
  3. デジタル時代における文学研究の可能性

また、A会の伝統ある機関誌への寄稿や、研究会での発表なども積極的に行っていきたいと考えております。

個人的な興味・関心

研究以外の面では、茶道と能楽に親しんでおります。これらの伝統芸能は、日本文学を理解する上で重要な美意識や精神性を体現していると考えているためです。

また、写真撮影も趣味としており、特に古建築や寺社仏閣の撮影を好んで行っています。これは研究テーマである空間表現への関心とも繋がっており、撮影を通じて得た知見を研究にも活かしています。

今後の展望

今後は、これまでの研究成果を一冊の著書としてまとめることを目標としています。特に、明治期の文学作品における空間表現の特徴を、当時の建築様式や都市計画との関連から考察した内容を中心に構想を練っているところです。

また、高校生向けの古典文学ガイドブックの執筆も計画しております。これは、現場での教育経験を活かし、現代の若者の興味・関心に即した形で古典文学の魅力を伝えることを目指すものです。

おわりに

A会での活動を通じて、私自身も新たな気づきや学びを得られることを楽しみにしております。会員の皆様とはオンライン上だけでなく、研究会や懇親会などでも直接お会いできる機会を心待ちにしております。

まだまだ未熟な点も多々ございますが、文学研究への情熱だけは誰にも負けない自信がございます。今後ともご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

敬具

令和六年春
月影 清響

略歴

  • 1985年 北海道小樽市生まれ
  • 2004年 北海道立小樽高等学校 卒業
  • 2008年 東京大学文学部国文学科 卒業
  • 2010年 同大学院人文社会系研究科修士課程 修了
  • 2013年 同博士課程 単位取得退学
  • 2013年~現在 私立青葉学園高等学校 教諭

主な研究業績

  • 「漱石作品における空間描写の変遷―『三四郎』から『明暗』まで―」『日本近代文学研究』第45号
  • 「大正期文学における室内描写と心理表現」『比較文学論集』第28号
  • 「教育現場における古典文学教育の新しい可能性」『教育実践研究』第12号

所属学会

  • 日本近代文学会
  • 日本比較文学会
  • 日本文学教育学会

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